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労務管理の基礎知識 第3号

「解雇予告除外認定」(労働基準法第20条)

前回、労働基準法に定められた解雇予告制度について説明しましたが、この解雇予告制度には3つの例外があります。今回はこの例外について説明します。
それは、(1)労働基準法第21条で規定する日雇いその他の短期雇用者の適用除外、(2)天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、(3)労働者の責めに帰すべき事由について解雇する場合・・・です。
そして、前記(2)、(3)に基づいて解雇する場合には、それぞれ所定の様式により所轄の労働基準監督署長に申請し、「解雇予告除外認定」を受けた場合に限り、解雇予告義務が免除されます。

では、どのような場合にこの「解雇予告除外認定」が受けられるでしょうか?

前記(2)の天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能になった場合の判断基準について行政解釈では、「やむを得ない事由とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づき且つ突発的な事由の意であり、事業の経営者として、社会通念上探るべき必要な措置を講じても通常如何ともし難いような状況にある場合をいう」としています。
そして、具体的には次のような場合が該当するとしています。

  1. 事業場が火災で焼失した場合(ただし、事業主の故意または重大な過失に基づく場合は除く)
  2. 震災に伴う工場、事業場の倒壊、類焼等により事業の継続が不可能となった場合

次に(3)の労働者の責めに帰すべき事由についてですが、労働者の地位、職責、継続勤務年数、勤務状況などを考慮の上、総合的に判断すべきであり、解雇予告制度の保護を与える必要のない程度に重大または悪質なもののみが該当すると解されています。そして、解雇予告除外認定をする事例として以下を挙げています。

  1. 極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、傷害などの刑法犯に該当する行為があった場合
  2. 一般的にみて極めて軽微な事案でも、使用者があらかじめ不祥事件の防止について諸種の手段を講じていたことが客観的に認められ、しかもなお労働者が継続的にまたは断続的に盗取、横領、障害等の刑法犯またはこれに類する行為を行った場合
  3. 事業場外で行われた盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為であっても、それが著しく事業場の名誉、信用を失墜するもの、取引関係に悪影響を与えるもの、または労使間の信頼関係を喪失させるものである場合
  4. 賭博、風紀紊乱などで職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合、またこの行為が事業場外で行われた場合でも、それが著しく事業場の名誉・信用を失墜するもの、取引に悪影響を与えるもの、または労使間の信頼関係を喪失せしめるものと認められるもの
  5. 雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合および雇入れの際、使用者の行う調査に対し、不採用の原因となるような経歴を詐称した場合
  6. 他の事業場へ転職した場合
  7. 原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合